2012年12月03日

らくだ

 昨日、黒門亭へお越し下さいました皆様、ありがとうございました。先月、出演依頼があった際に、9日の二部の予定でしたので、『らくだ』を演る事に決めました。ところが、その後直ぐに、9日が長野で会だと気付き、2日の一部に変えて戴きました。『らくだ』は長い噺です。なので、二部のトリなら時間を気にしなくても良かったンですけど・・・
 この噺を覚えたのは、もう随分と前の事です。二つ目になったばかりの時に、師匠が独演会で演る事になり、その稽古に付き合わせて戴きました。師匠は、どんな噺の稽古をする時でも、くすぐりを思い付いたり、自分の工夫した処を聞かせて、こちらの意見を聞いて来るンです。勿論、意見なんて言えませんけどね。『いいですね』とか『それ、面白いです』とかしか言えません。あっ!、でも、『こんなンじゃァ駄目ですかねぇ』なんて、自分の思い付きを聞いて貰う事もあります。ですから、いつの間にか覚えちゃうンですよね。
 『らくだ』もそうでした。ちゃんと向き合って稽古して貰ったンじゃないンです。師匠は菜漬の樽を担いで出掛ける所までで30分位ありました。大家の場面と八百屋ン所、酒に酔って行く所を時間をかけて丁寧に演っていました。これからサゲまでは10分位でしたね。
 オイラが初めて演ったのは、二つ目になって5、6年目の地元での勉強会でした。マクラは無し、『あるお長屋に本名を馬さんというので、馬太郎とか馬吉と言うンでしょうが…』って入りました。その時の感想などは、もう三十年近く前の事なので、余り良く覚えていないのですがね。
 最近では5年前、練馬の三凱亭で演りました。その時は、青木社中が応援に来てくれてましたので、『かんかんのう』という唄をマクラに使い、昨日もこれから噺に入って行きました。
 この噺は、屑屋と兄弟分の逆転する所が要ですから、月番、大家、八百屋へ屑屋を使いに出す兄弟分に凄味を効かせて、屑屋は商人の弱さと温和しさも強調しておかなくてはなりません。ですから大家と屑屋の会話ン所も丁寧に演じなくてはなりませんね。って、これは師匠がそう言ったンですけど。
 で、段々酔って来て、屑屋と兄弟分の立場が逆転する。此処は時間をかけて演りたい所。なので、屑屋に良く喋らせる様にする。なのでオイラは志ん生師の甚五郎のカエルでなく、狸の皮にしてみました。これは圓生師のですね。酔っ払いの噺は好きですから、この場面はオイラは楽しいですね。
 昨日はサゲまで演ろうと思っていたので、屑屋の使いに行く所を兄弟分との会話だけで省略しちゃおうと思ったのですが、大家さんトコはどうしても端折れないので、八百屋ン所を抜いちゃいました。それでも三十分過ぎちゃいましたンで、やっぱりサゲまでは出来ませんでした。後十分はかかるもンなァ。
 これから更に二人の酔っぱらいが出て来ます。この四人の酔っぱらいの演じ分け、難しいけど演ってて楽しいです。今度は是非サゲまで演りたいですね。

 
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posted by 抜き打ちの龍 at 08:27| 東京 ☁| Comment(0) | TrackBack(0) | 噺の履歴書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2012年05月26日

代書屋

 これから暫くは、稽古しても一度しか高座にかけなかった噺ばかりが続きます。その一番手はこの『代書屋』です。
 師匠の独演会が、銀座ガスホールで行われていました。二つ目になって、その会に出させて戴く事になった時に覚えた噺です。
 この噺はTVやラジオで、桂春団治師、桂枝雀師のを聴いて、演ってみたいと思いました。こちらで誰が演っているかと探しましたら、柳家小八(現喜多八)さんが演っていましたので、小八さんに習いました。
 小八さんは、真打昇進の配り物の宛名や、会の席の名札などを頼まれる程、筆字が上手と評判でした。まっ、こりゃァ噺とは関係ない事ですが。でも、代書屋ですもン、字が上手いってぇのも、何か縁がありそう。
 噺は習いましたが、小八さんの調子はオイラには合いません。稽古だからなンでしょうが、淡々としているンです。代書屋の親父はそれでいいンですが、客の方はもう少し、というよりもっと抑揚付けた方が良さそうです。
 噺は頭に入ったのですが、中々人物設定が出来ませんでした。人物がはっきり設定されてないと、ただ噺をしているだけになっちゃいます。それじゃァ朗読じゃん。面白くも何ともないですよね。落語は、一人芝居だから面白いンだと思っていますから、それじゃァ芝居になりません。
 そんな時、師匠のお客様からテープを戴きました。オイラが代書屋を演るってンで、参考にしなさいと、三遊亭百生師、桂枝雀師、桂米朝師、桂春団治師、桂小南師の『代書屋』と、古今亭今輔師の『印鑑証明』の噺を、わざわざ一本のテープに編集して下さったンです。
 全部聴きましたが、余計混乱してしまいましたね。でも、何度か繰返し聴いてる内に、客の人物が出来上がって来ました。小八さんから稽古をつけて貰ってから、半年くらい掛りましたかね。11月の会には間に合いました。でも、その後、寄席で演る事もなく、自分の勉強会でも演らず、たった一回限りの高座でした。
 時々演ってみたいと思うンですが、やっぱり難しいですね。この客の人物設定がホント、まだどう演じていいのか解らないンです。モデルになる様な人がいないからナァ〜。

 
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posted by 抜き打ちの龍 at 09:17| 東京 ☀| Comment(0) | TrackBack(0) | 噺の履歴書 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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